今回のノートは

エレキギターのイラストが表紙の、中綴じノートとハードカバーノートです。

http://bookfarm.jp/blog/archives/643/

http://bookfarm.jp/blog/archives/600/

7月に参加させていただいたイベントで、ブースに立ち寄って下さった通りがかりのお客様がLed ZeppelinのTシャツを着ていらして、趣味の曲、ジャケットの絵の話など、楽しく会話させていただきました。私の販売している商品は音楽もRockも関係のない絵柄の、ハードカバーノートやバインダーといった文房具類でしたが、いくつかご購入下さいました。買っていただいたことはもちろん嬉しいのですが、なんというか商品を超えたところでのコミュニケーションが新鮮で、私にはとても印象的な出来事でした。

これまで作ってきたノートはアンティークシリーズのデザインでした。アンティークは、もちろん大好きなモチーフです。でもシリーズやストーリーはアンティーク以外でも展開できるわけですし、他にもバリエーションを増やしてみたいと思いました。じつは個人的に、オリジナルは独創的なものでなければいけないんじゃないか?とか、テーマは統一されているべきだろうか、などと迷うこともありました。でも今回は肩の力をぬいて自分の趣味から題材を得てみました。ギターのイラストをIllustratorで描いています。何の気負いもなく楽しんで作りました。コンセプトとか努力とか、後付けの意思でコントロールした行動ではなくて、衝動的に素の感覚で作るよろこび、忘れかけてたような気がします。

お店のテーマは「大人が使いたい文房具」なので、そこはブレない商品展開で今後もいろいろと楽しみながら企画してゆきます。

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続・製本の手仕事

6月に書いた「製本の手仕事」の続編です。途中、端折った行程を写真でご紹介。

かがり綴じについては今回も撮影していません…ほんとに他サイトの方や製本ワークショップをされている方がとても親切に教えて下さっているので私が書くまでもないかと。。でもいつか気が向いたら書いてみますね。では背に糊を付けるところから見返し貼りまでご覧下さいませ☆

↓かがり綴じのときに芯にしていた麻糸はなるべく倒して背に沿わせる(私はこうしています)。

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↓あらかじめ栞(しおり)の頭を出して挟んでおき、背に糊を塗り込み麻糸を一緒に貼付けたところ。(ここでいう「糊」とは前回書いた通り障子糊とボンドを半々、水をほんの少し。)

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↓寒冷紗を貼り、しおりを貼付ける。

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↓花布を上下に貼る。

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↓背の全体に再度糊を塗る。

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↓背紙を貼付け。この状態でしばらく置いて落ち着かせる。

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↓表紙は背と表紙の間の溝に糊を塗り、出来上がった本文を真ん中に。

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↓表紙を閉じて溝を押さえたところ。

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↓垂直に表紙を開いて見返しに糊を(撮影するため手を離したので写真は垂直じゃないですが笑)。

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表紙を静かに倒す。

↓倒した表紙を再度開き、ガーゼや柔らかい布で撫でるように空気を抜きながら見返しを貼付ける。背側から端へ向かうよう放射状に空気を抜いていくとよさげです。

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↓見返しの間にクッキングペーパーを挟んでおく。糊付した湿気で本文用紙がヨレヨレになってしまうのを防ぐため。

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あとは上から重しをしてプレス。1日でおおむね乾きますが表紙が反り返ってくることもあるので3日以上はプレスして乾かしておいた方がきれいに仕上がるようです☆

 

バインダーの金具付け

暑いですね。今年の関東地方は例年より15日もはやい梅雨明けで(7月6日〜)猛暑日が続いています。 少し太陽が低くなる15時半頃、庭先でバインダーの金具付けをしました。

なぜ屋外でやるのかというと、硬くて水平なコンクリート上に石台を置いて穴をあけたり金具を打ち付けたりすると均等に力が加わるのです。本体が汚れないよう、コンクリートの上に新聞紙や板を敷いて。

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穴開けポンチで穴をあけます。たたくのは木槌とはいえ鍛冶屋のような音が鳴り響きますから夜はできません(笑)

バインダーの金具を取り付けたところ。両面カシメで固定しました。

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近所で音を聞いた人は、大工仕事をしてるのだろうと思ったかもしれませんがバインダーなのです☆このバインダーはいろんな道具を使い、こだわりをもって選んだ素材と、多くの工程で構成されています。

7月15日(月)祝日:手創り市 鬼子母神、11月2日(土)・3日(日)のデザインフェスタvol.38にて販売予定です。

製本の手仕事

手仕事の準備は製本も料理も同じ。まずは手を清めます。また、作業台も道具も清潔に。綴じるまでの工程はあせらず確実に、糊付けは生ものを調理するような気持ちで手際良く…という心持ちで向き合っています。出来上がった作品は盛りつけた後の料理のようにそっと静かに扱います。触りすぎると鮮度が落ちるのです。角がピンと張った活きのいい紙は使う時にドキドキしますよね。その感覚を大切にしたいのです。

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ノート本文用紙の折り作業には、マーサスチュワート/スコアリングボードを使っています。本来の機能である、折り線の筋付けのためではなく、角を利用して2つ折をピッタリ揃えるためだけに使います。木箱やお菓子のフタ等でも出来そうですね笑

 

01toji次に綴じ作業ですが、折った紙を重ねて束にしたものを折丁といいますね。ハードカバーノートは4枚(16ページ分)の折丁を10コ用意し、綴じて1束にします。

麻糸を芯にして綿糸で綴じてゆきます。綴じ方に関しては他サイトにとても詳しくて親切な情報がありますが、私もいずれは書いてみたいと考えております。今回はポイントだけ紹介することにして綴じの工程は割愛しますね。

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次に表紙の裏面にハケで糊を付けます。私の場合製本に使う糊の調合は、製本ボンドと障子糊を同量くらい、水をほんの少し(滑りがよくなる程度)。

親指と人差し指の2本で紙の端を抑えながらハケを放射状に動かして糊を伸ばしてゆき、1度半乾きにして2度塗りします。

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あらかじめサイズに切ってあった表紙用ボール紙(板紙)を置いて軽く押さえる。糊で汚れていない新しいクラフト紙の上に載せ、ボール紙を表紙に強く押しつけ、表紙ののりしろを下のクラフト紙ごと(ひっぱり気味に)折り返し、クラフト紙の上から竹指輪でしごいて側面やのりしろのキワや角がピッと仕上がるよう処理します。

 

 

 

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綴じた本文用紙は見返しを付けたり、しおりや花布、寒冷紗を付けて背固めする工程があるのですが、それもまた綴じの工程を書いた時にご紹介しますね。

表紙の真ん中に綴じた本文用紙を位置合わせして置きます。位置がずれないよう静かに表紙を閉じ、見返しの裏に糊を付けて表紙に貼り付けるのですがこの工程は写真を撮っていないのでまた後日…笑。

作業中は指先に集中力が必要。何か考え事などをしていると失敗することがあります笑。かといって緊張しすぎると、これまた失敗の元。何も考えず瞑想をしているような感じがよろしいようです。流鏑馬は力を抜いて的を見ずに射るものだと聞いたことがありますが、なんとなく通じるものがあるような気がしますね。「技」というのはそうやって磨かれてゆくのかもしれません。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。このように1冊ずつ、手間暇かけて作るので量産ができないのです。かといって、この作業を人任せや機械任せにしてしまうと寂しいというか、自分で仕上げたいので、多くの人に手にとっていただきたい気持ちとの板挟みでジレンマですね。

Book Farmの文房具は、作り手を離れ、使う人の手に渡り生活の中に存在することで完成します。机や本棚、鞄の中で、あなただけの物語が刻まれてゆくのだろうと想像すると、私はとてもハッピーです☆